チヨダ工業株式会社

自動車シートの金型を製造　試作から量産まで対応する

最後の仕上げ工程を行う微細加工機。時には顕微鏡を用いて穴の加工精度を高めることも

デジタルと技術力。２つの融合が強み

　金型専業メーカーとして、自動車の軽量化に取り組むチヨダ工業。試作から量産まで、自動車シートの金型を一貫生産できることが強みだ。一般的には自動車もバッテリーが重いEV車ほど軽量化が求められるだけに、業界内において重要な役割を担う企業である。
　同社ではこれまで軽量化が実現できるものの、成形しづらいとされてきた「超高張力鋼板」を使った自動車部品を成形する金型に取り組み、高い技術力を発揮してきた。経験のある職人、さらにコンピューターによる解析などのデジタル技術。二つを融合させることが製品の質向上に寄与してきた。
　自動車部品の金型は開発から顧客と一体となり、新技術、生産性やコスト管理について提案。新工法にもチャレンジすることで、不良低減や納期短縮を実現してきた。

新代表が舵を取り、全員が主役の企業へ

　２０２３年10月、新たな代表取締役として牧野伸志氏が就任。会社設立から60年以上を経て、チヨダ工業は新しい変革期へと入っている。専務として工場長も経験した牧野代表取締役は「若手も含めた全員が主役の企業へ」を掲げ、特に若い世代の人材育成に着手。早速、上位職種の社員による意見交換を実施。上位層の考え、理念を改めて共有して、若い世代へ伝達していく考えだ。
　同社では「自動車EV化への対応」、「海外拠点の拡充」、「木質流動成形による新商品開発」を３つの柱に据える。事業の根幹となる自動車シートの金型においては、すでに各メーカーと試作を重ね、強度は高いレベルで維持しつつ、より軽量化されたシートを開発中。先行きの読めない自動車業界だが、これまで蓄積した超高張力鋼材を用いた工法であれば充分に対応できると自信を持つ。海外の合弁会社があるアメリカ、タイ、子会社があるベトナムにも販路をさらに拡充させる考えだ。

木質流動成形による新商品が続々登場

　２０１２年、チャレンジ精神と発想の転換から着目した素材が木材。木の繊維と繊維をつなぐ細胞壁間を滑り動かし、プラスチックのように成形する木質流動成形に産業技術総合研究所と共同で取り組んできた。
　これまで木質流動成形では、スピーカーのコーン、インシュレーター（スピーカーの下に敷いて音を良くするためのもの）を皮切りに商品化。近年では藤井聡太8冠が小学生の頃通った将棋教室を営む文本力雄氏が監修した高級木曽ヒノキ材を使った将棋セットもラインアップ。さらにインテリアにとり入れやすい木製ランプシェードも販売。社員がアイデアを出し合って生まれる商品の数々は、多くが社員の趣味、好きなものから着想のヒントを得ている。
　これまでの発想にとらわれない木質流動成形は、前代表の頃から取り組んできた事業であり、残してくれたものを大切にして、伸ばしたいと牧野伸志代表取締役社長は抱負を語る。

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Company Profile

チヨダ工業株式会社
本社／愛知県愛知郡東郷町大字春木岩ヶ根1番地
電話／0561-38-0005
代表取締役社長／牧野 伸志
設立／1962年
従業員数／90人（2024年1月計）
売上高／26億6,394万円（2023年1月期）
海外拠点数／3ヶ所
URL／http://www.t-chiyoda.co.jp/
オンラインショップ／https://chiyodawood.theshop.jp
インターンシップあり
働きやすさアピール／新卒・中途・車・住宅・産／育
主な海外取引先

金型、金型設計、順送金型、精密金型、自動車部品、木質流動、木質流動成形、自動車部品試作品